常滑の手焼きえびせん老舗「吉野屋」から学ぶ ― 地域ブランドとストーリーマーケティング

こんにちは。エリアウェブの伊藤です。
今日は、愛知県常滑市で100年以上にわたり手焼きえびせんを作り続けている老舗「吉野屋」さんをご紹介しながら、中小企業が学べる“地域ブランド”と“ストーリーマーケティング”について考えてみたいと思います。
エビ不漁と原料高騰のニュースが示すこと
近年、海産資源を取り巻く環境は厳しさを増しています。
水産庁の報告によれば、日本では生鮮魚介類の購入量が価格上昇や輸入価格高騰の影響を受けて減少傾向にあります。(水産庁 報告書)
また、沿岸漁業の生産量も、磯焼け・沿岸開発・稚魚の育成場の減少などの環境変化により漸減してきているというデータがあります。(水産庁データ)
さらに富山湾の白海老は、例年なら1日1〜10トン規模の水揚げがあるところ、近年は100kgに満たない日が続いており、ブランド海産物としての持続性に懸念が上がっています。(PR TIMES)
こうしたニュースが示すのは、価格競争ではなく、地域ブランドと物語をどう発信するかが差をつける時代に入っているということです。
常滑の手焼きえびせん老舗「吉野屋」 ― 100年続く伝統

愛知県常滑市にある「吉野屋」さんは、100年以上の歴史を持つ手焼きえびせんの老舗です。
常滑といえば「焼き物の町」として全国的に知られていますが、同時に海に面した町でもあり、海老や海苔といった海の恵みを活かした食文化が根付いています。
吉野屋さんでは、定番の「海老ほまれ」「満月」「海老おどり」に加え、わさび、アーモンド、海苔など多彩なバリエーションを展開。観光で常滑を訪れる方のお土産としても、ご家庭用や贈り物としても幅広く愛されています。
地域ブランドを活かす戦略
吉野屋さんの強みは、単に「えびせんを作っている」ことではありません。
「常滑という地域で、海とともに100年以上続いてきた伝統を守ってきた」という地域ブランドそのものが大きな価値を持っています。
中小企業にとっても、地域性は大きな資産です。
- その土地ならではの歴史や文化
- 地元のお客様との信頼関係
- 他にはない独自の物語
これらを活かして発信できれば、規模や価格ではなく“物語性”で選ばれる存在になれます。
ストーリーマーケティングの力
吉野屋さんは今も昔ながらの「手焼き」にこだわっています。
袋を開けた瞬間に広がる香ばしい香り、パリッとした歯ごたえには、職人の技と想いが込められています。
これは単なる製法の違いではなく、「商品そのものが語るストーリー」です。
消費者は味だけでなく「背景にある物語」も含めて価値を感じます。
中小企業が学ぶべきは、商品の機能や価格ではなく、どんな物語を持っているか、どう伝えるかという視点です。
エリアウェブとしての視点
私はこの吉野屋さんの姿勢を見て、「中小企業こそ地域ブランドとストーリーを発信するべきだ」と強く感じます。
今の時代は、ただ安さを競う価格競争ではなく、物語や文化をどう伝えるかが差をつける時代です。
吉野屋さんのように「地域に根ざした物語」を大切にすれば、規模や資本の大小に関わらず“唯一無二の存在”としてお客様に選ばれるはずです。
まとめ
原料高騰や市場の変化は、どの地域の中小企業にとっても避けられない課題です。
しかし吉野屋さんの事例が示すのは、地域ブランドとストーリーは時代の逆風を超える力になるということ。
常滑を訪れる際は、ぜひ吉野屋さんの手焼きえびせんを味わってみてください。
遠方の方も、オンラインショップからお取り寄せいただけます。